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イノベーションのジレンマとコロナ禍以降の再生

 少し前に、朝のテレビ番組で、くすみ色のヘアドライヤーの人気が高まっているというトピックスが紹介されていました。

 くすみ色とはマットな艶消しの色合いで、これまでのヘアドライヤーで一般的だった艶色のビビッドなものとは異なる趣きをしています。

 このくすみ色のシロやクロ、抹茶色などのドライヤーは男性やモノトーンカラーを好む女性などを中心に売上が伸び、当初目標を25%以上も上回る勢いだそうです。

 最近、街をゆくクルマを見ていても、マットなブラックやグレー、ブルーなどが増えていると感じていました。

 一昔前に街で見掛けたマット色のクルマは、相当年季の入って仕方なく自分でペンキ塗装した様なシロモノか軍用車好きなんだろうなと思わせる様な迷彩色だったのですが、その趣きとはかなり違う大型輸入車にマットが多いことに気付きます。

 同番組のコメンテーターの日経トレンド編集者の話では、こうした動きはさまざまな商材で顕れていて、利用者の好みに合わせて使う人たちが使いたいものをメーカーが商品提供する方向にどんどん変化しているそうです。

 この報道で気づいたもう一つのことは、画面に出ていたヘアドライヤーは見慣れた大手メーカーのものではなかったことです。

 クレイトン・クリステンセンは「イノベ―ションのジレンマ」で「優良企業は持続的イノベーションのプロセスで自社の事業を成り立たせているため破壊的イノベーションを軽視し、その結果、既存の商品より劣るが新たな特色を持つ商品を売り出し始めた新興企業に大きく後れを取ってしまう」と語っています。

 これを頭に入れながらヘアドライヤー市場を観ると、面白いことがわかります。

 家電メジャーは、髪へのダメージや髪の乾燥の迅速化などヘアドライヤーに本来求められる機能の高度化を主な特色としています。

 これに対して、この新しいブランドではそうした基本的機能を備えながらも「くすみ色」という言うまでもなく新しい変化を提示しています。

  家電では21世紀に入って実に多くの製品で同じ様なことが繰り返されている気がします。携帯電話は典型ですし、海外出張のときに利用したホテルの部屋で見たテレビや冷蔵庫などの家電も、以前よく目にした日本ブランドがいつの間にか韓国や中国ブランドに置き換わりました。

 

 コロナ禍で痛んだ経済を復活させるために政財界がいろいろな掛け声を発していますが、そのいずれもが空々しく聞こえてきます。

 それは、その掛け声の多くが変化に対応するために新しいことを取り込もうとする姿勢を示さずに、過去の経験と栄光に縋り続けながら、これまでの延長線上の姿勢を崩そうとしない頑なさが、不甲斐なさに見えてしまうからかも知れません。

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